術後の回復

心疾患用デバイスの植込み手術および心筋焼灼術の術後の回復

回復の時間は、治療の種類と範囲、全般的な健康状態および合併症によって異なります。ただし、下記に書かれている事を守ることで、治癒の手助けになるでしょう。

  • 睡眠を十分にとる。
  • 切開部位や植込み部位をしっかり保護する。
  • 薬物療法に関する医師の指示に注意深く従う。
  • 明確な説明が必要な場合には、担当の医療チームに質問する。
  • 医師から指示されるまでは包帯をとらない。

どのような手術でも、以下のような一般的な後遺症が見られます。

  • 食欲不振
  • 睡眠障害
  • 便秘
  • 気分変動

これらの症状は、回復に伴って消えることが予想されます。

 

注意すべきこと

手術には常にリスクが伴います。そのため、手術後の身体の感覚に注意を払うことが重要です。医師は、あなたの症状に特有の問題などの警戒すべき兆候を説明し、思わしくない症状が見られる場合にどうすべきかを指示するでしょう。植込み型デバイスを植え込んだ場合、医師から渡された資料やしおりは全て読み、「重要」と表示されている箇所は、特に注意してください。

精神面の健康に注意を払うことも重要です。以下の症状が見られる場合は、必ず医師に知らせてください。

  • 以前は楽しんでいた活動を楽しめない。
  • 自殺や自傷を考える。
  • 活動、人、親密なつきあい、その他、心拍数に影響を与えそうな状況を避ける傾向がある。
  • 悲しみや過剰な不安。
  • ICD (植込み型除細動器)を植え込んだ場合、ショック治療を受けることに対する日常活動を制限するような恐怖。
ICM (植込み型心電図記録計)を植え込んだ場合

特定の兆候は感染症を示している可能性があり、重篤な場合があります。これには以下の徴候が含まれます。

  • 圧痛
  • 疼痛
  • 腫脹
  • 熱感
  • 発赤
  • 切開部位からの排液
  • 発熱

また、以下の症状が出た場合もご連絡ください。

  • アレルギー反応
  • 過剰な出血
  • 神経痛またはしびれ
  • 過剰な瘢痕
  • 囊胞の形成

これらの症状のいずれかを確認した場合は直ちに医師にご連絡ください。

ペースメーカまたは ICD を植え込んだ場合

植込み部位に圧痛を感じる場合がありますが、これはごく普通のことです。ただし、ペースメーカまたは ICD を植え込んだ胸部のポケットが痛んだり、腫れたり、赤くなったりした場合は、発熱の有無にかかわらず直ちに医師に相談してください。連絡が必要なその他の症状として、動悸、めまい、失神などがあります

心筋焼灼術を受けた場合

特定の兆候は感染症を示している可能性があり、重篤な場合があります。これには以下の徴候が含まれます。

  • 圧痛
  • 疼痛
  • 腫脹
  • 熱感
  • 発赤
  • 切開部位からの浸出
  • 発熱

これらの症状のいずれかを確認した場合は直ちに医師に相談してください。

また、以下の症状が出た場合もご連絡ください。

  • 胸、顎、肩または腕の痛み
  • 速い心拍リズム
  • 胸の異常な感覚
  • 腕や足のしびれまたはうずくような痛み
  • 過剰な出血または異常な鼻血
  • めまい
  • 息切れ

これらの症状は、心臓に問題があることを示している可能性があります。

その他に、医師に相談すべき症状として、以下のようなものがあります。

  • 足または足首の腫脹
  • 皮下出血
  • 血尿、血便または黒色でタール状の便
  • 全般的な脱力感またはエネルギーの喪失感
  • かすみ目または視力喪失

医師は、心臓の正常な調律の回復を支援するため、しばらくの間、抗不整脈薬を投与する場合があります。不整脈の症状は、心筋焼灼術後の約 2 週間、場合によってはそれより長く続くことがあります。術後 3~6 ヵ月から心拍数が安定し始めます。ほとんどの心筋焼灼術は成功していますが、心筋焼灼術を受けた方の中にはさらに心筋焼灼術が必要になる場合もあります。

診察を受ける

手術から数日および数週間後に、医師による診察を複数回受けることが予想されます。そうした診察の予約日を守ることが重要です。医師はこれらの診察で、切開部が回復に向かっていることを確認でき、またデバイスを植え込んだ場合は、ペースメーカまたは ICD が適切に機能していることを確認することができます。特に、

  • 医師が心疾患用デバイスの微調整を行う必要がある場合は、診察室からワイヤレスで行うことができます。デバイスはバッテリ情報を伝達し、システムチェックを実行し、心拍リズムについて報告します。医師はこの情報を評価し、必要に応じて設定を変更することができます。
  • 切開部が治癒し、デバイスが適切に機能していると医師が判断した後も、定期的な経過観察のため通院が必要です。どのくらいの頻度で評価が必要かについては医師が助言します。
  • ICD を使用している患者様の場合、年に 1、2 回またはショック治療を受けた後、医師の診察が必要になる可能性があります。デバイスからショック治療を受けた場合の対処方法について必ず話し合ってください。
医師による推奨事項

術後の一定期間は活動が制限されます。性交や運動などの通常の活動を再開できる時期については、医師が指示します。特に、

  • 重い物を持ち上げることが安全になる時期について、よく指示に注意してください。
  • 医療チームが適切な活動のレベルについて助言し、理学療法を推奨することがあります。医師が特定の療法を推奨する理由を理解し、自身の回復に全面的に関与することが重要です。
  • また、医師はストレスレベルを管理または低減するためのカウンセリングを推奨することがあります。また、心臓に良い食事を摂取する必要がある場合もあります。
家族や友人の協力

回復時に予想されることを身近な人たちと話し合っておけば、健康回復に気持ちを集中させることができます。愛する人との連絡手段を常に保ち、どのような手助けがいつ必要になるかを明確に伝えましょう。

あなたの介護をする家族や友人が、医師の診察に付き添うことを希望するかもしれません。メモをとったり、あなたが受けとる資料を整理したり、診察予約日程を組んだり、移動手段を提供したりすることができるため、付き添いは大きな助けになります。また、以下のような手助けもできます。

  • 心臓の健康に良い食事の提供、着替えの補助、ストレスのない環境の維持など、家庭での回復を促進する。
  • 合併症の兆候に注意を払う。
  • 投薬およびリハビリテーションのスケジュールを守らせる。
  • あなたを常に元気づける。

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